滑り込みで見てきました。なかなか時間合わなくて映画館では見れないかもと思ってたからよかった。
原作未読です。
合唱部の部長・眼鏡中学生の岡聡実くんが893の成田狂児に歌の先生を頼まれることから始まる青春に非日常が交差する低温コメディ。または愛の話。
大阪が舞台故の関西マジックなのか…893もコメディも淡々とリアルと地続きな感じで、なのに非日常で不思議な気持ちになりました。
全体的に笑いこらえられないシーン多数で上映中あちこちから笑い声がきこえてきました。私も笑った。キティの兄貴とタンポポの兄貴…!
綾野剛さんが演じる狂児が怖いけど魅力的。
現代の考える怖い893そのものであり妙な人懐っこさが独特でもあり、これは出る映画が違ったら笑顔で暴力拷問してくるサイコな有能幹部だよなとか思った。
聡実くん役の斎藤さんはリアル15歳とのことでびっくり。この年にしか出せないものを詰めたとのことですが…納得。
聡実くんが狂児に先生頼まれるのがすごく唐突なのに聡実くんも見てる側もいつの間にかなんか受け入れてしまう。
狂児の独特な距離の詰め方と作品全体の不思議なテンポがそう感じさせるのかな。
物語最後で聡実くんだけでなくいろんなものが変わっていくというのが示唆されてて、レコーダーを買い替えた映画を見る部も来年は廃部になるだろうし、南銀座には巨大なホテルが立つからやましい界隈は立ち退いていく
連絡が取れなくなった狂児のことを聡実くんが話すと「幻だったんちゃう?」と言われるシーンがあるんだけど冒頭の唐突な始まりと全体的な雰囲気から観てる側も「そうかも…?」とちょっと思ってしまう
…からのエンドロール後の狂児!生きとったんかワレ!!
その腕には「聡実」の入れ墨が。
組長のお誕生日恒例のカラオケ大会で一番歌下手認定をされると罰として組長から入れ墨を彫られる。
狂児曰く組長の絵心は「うんこ」で下手な上にその人の嫌いなものを彫るというからタチが悪い。
自分に歌の指導を依頼してきた発端を聞いた聡実くんは「ならわざと好きなものを嫌い嫌いと言えばいいのでは?どうせ彫られるなら好きなものの方がいいでしょ」と言うんだけど
ここで回収…!綺麗!!
カラオケ大会に乗り込んだ聡実くんが狂児のために歌った顛末しっかり見てる組長が理解してないわけはないのでつまり…(ニッコリ)
愛について聡実くんが気づくシーンが日常の中、母が父に(たぶん父の好物である)鮭の皮をペリっと剥がして父の茶碗に置くとこがスローで映るので表されてるのがなんか良かった。
愛とは与えるもの、と映画を見る部の子から聞いて、日々の何気ない景色の中にそれを見つけたっていうのがわかりやすく表現されてたなーと。
頑なに歌わなかった聡実くんが狂児のためにカラオケ大会に乗り込んで「紅」を熱唱するとこに青春を感じました。
もう綺麗なソプラノは出ないし終盤は声裏返ったりして苦しそうなのがね。
そして自分の最後のソプラノの声を、合唱コンクールではなく狂児に捧げたのだなぁ。愛だな。愛とは与えるもの。
二人の関係はBLなのか?と言われると…わからない。
ブロマンス?友情?…わからない、けど、なんかいいなぁ~と感じました。
しかしここは正直な感想として、狂児の距離感(初手からめっちゃ近い。ニコニコしてるけど怖い893のイメージが先行であって得体のしれない怖さとも取れるけど聡実くんには始終とても友好的)とか出会いの唐突さとか「聡実」の入れ墨とかに関してはぶっちゃけBLだと思いました。
でも、要素としてはBLっぽいんだけど全体的な雰囲気がBLとは違うような??と感じる映画だったな~
二人に恋仲になってほしいというよりずっと仲良くしてて欲しいなみたいな気持ち。
しかし中学生と成人893、友人として仲良くするのだけでもかなりハードル高いんだよな…カラオケ行こ!は青春の中に893という非日常が差し込まれてるから、ある意味では青春の一瞬の鋭いきらめきとして終われそうなんだけど、最後に青春時代の幻ではなく二人の関係は続いていくのが示されてるし原作もファミレス行こで続いてる(※未読です)し…どうなるんだろう。
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