予告お知らせからずっと見たかった映画だったのでおもしろくて満足!大ヒットおめでとう!!
以下ネタバレ。
現代の鬼太郎一行(6期設定なので猫娘の頭身が高い)が廃村に行き、その村で何があったか、6期鬼太郎が人間を助ける理由にもなっている「水木」という男と目玉親父の出会いについて目玉親父が語る形で話が始まります。
初めに断っておくと、タイトル的に鬼太郎ライジング…誕生秘話…ではあるのですが、実際にライジングするのはエンドロール後です!
というかライジングが本編でばっちり描かれているのは霊毛ちゃんちゃんこの方だったりする。えっあのちゃんちゃんこにこんな壮大なエピソードが?!となること請け合い。
ストーリーは世間で言われてる通り、横溝正史オマージュな感じ。
完全に閉鎖された村、その支配者の一族の後継争い、連続不審死、一族が作る秘薬「M」、行方不明になった目玉親父の奥さん(鬼太郎のお母さん)…。
起こる全てがあっこれ因習村ゼミでやったやつ!となります。
なので大体くるものも予想できます(一族の近親相姦、黒幕の正体、秘薬Mと村の正体)が、墓場の鬼太郎の設定を取り込みつつなので独自の味付け・結末になってるなーと思いました。
全体的に大人向けではあるんですが、黒幕である時貞ジジイとの対決では日曜日朝アニメのスピンオフ(エピソード0)であることを思い出させる感じになってたと思います。(次世代を私利私欲で食い潰す時貞ジジイに対して、鬼太郎が生きていく世界を守ろうとするゲゲ郎)
ツイッターなどでは「希望がないストーリー」「地獄しかない」と言われていますが個人的にそれはちょっと疑問……。
多分、一族の中で完全な被害者だった紗代と時ちゃんが利用されるされるだけされて死んでしまうから&水木は村での記憶を失ってしまいゲゲ郎と奥さんはなんとか生き延びるもあの村で受けた仕打ちと受け止めた呪いでその後死ぬことになる(墓場の鬼太郎冒頭につながる)からなのかなーとは思いますが…。
でも、色んなものが失意のうちに失われても鬼太郎は生まれてきた。
それは幽霊族の母親が生きながら血を抜き取られ続け虐げられ続けてもずっとお腹の中の鬼太郎を守ってきたからだし、
我が子が生まれてくる世界(と人間の友が生きる世界)を守りたいと体を張って狂骨の呪いを全て受け止めた親父がいたからだし、
生まれてきた鬼太郎を「化物だから…」と殺そうとするも脳裏に走った「忘れてしまった誰か」の姿に思いとどまって育てていこうと決める水木がいたからなわけで、
とどのつまりこれってめっちゃ希望じゃん!!?と思ってます。
霊毛ちゃんちゃんこライジングのシーンとか!お腹の中の鬼太郎の声に反応してご先祖様達がご先祖パワーで狂骨抑え込むとか!希望じゃん!??!?!※簡単に地獄とか言うなの顔
ゾーニングが甘い(PG12…小学生以下の子供には大人からの注意が必要)との指摘もありますが、自分が見たときは小学生くらいの子結構いましたが終わった後「おもしろかった!」「かっこよかった〜」と声が聞こえてきたので大人が心配するよりかなり素直に楽しんでるなーと個人的には思いました。
でも確かに自分の子供だったら子供自身から見たいと言い出さない限りは黙ってるかもな…みたいな感じ。
水木とゲゲ郎が利害で手を組む関係から相棒、友と呼ぶようになる過程が良かったです。
ゲゲ郎は奥さんの影響で昔より人間が嫌いではなくなったと言ってたけど友とまで呼ぶような人間はたぶん水木が初めてだろうな。
水木も完全な善人ではなく、戦争で傷付いて人を信じられないところがあって、「弱い立場でありたくない、虐げられる側から抜け出すためならなんでも利用してやる!」という野心がある。
時貞ジジイもですが、このギラギラ感出すのは令和のキャラでは難しいだろうなと思いました。戦後から少し経った時代だからこそリアリティ持たせられるというか。
時貞ジジイの甘言を突っぱねたところが水木の「それでも善たるもの」の容なのかなと思います。虐げられる弱者でいたくはないけど、弱者を虐げる側になりたいわけではない。
あと、バディものとして「この二人じゃないとダメだった」というのが観ててわかるのも良かったです。
水木単体では権威と呪いに阻まれて真実には辿り着けず、ゲゲ郎単体では戦闘は何とかなっても幽霊族パワー無効パッシブを持つ狂骨攻略で詰むので。
話的にもリアルな尺的にも短い中でこれがちゃんと提示と表現されてるのすごいな〜。
ところで「幽霊族」という名前に騙されがちですが鬼太郎では幽霊族とは人間より旧い時代からいた先住種族のことを指してて、戦闘スタイルは超能力や念力ではなく、基本はパワー!!!!です。
バルコニーの手すりをぶち折る!ジャイアントスイング!歯で刀折る!ヒュー!!!
これに勝てるCV石田彰のような見た目をしたCV石田彰の長田が使う裏鬼道ってなんなのよという話ですが、人間は弱いからこそ知恵(謀略)や技(罠や飛び道具や術)を極めて幽霊族を淘汰していったのだろうなぁ…。幽霊族は不死に近いぐらい強くて長寿が故に「そんなこと」しなくて良くて、だから「そんなこと」をしてくる人間に一方的に狩られてしまったのかもなぁと。
「全部説明することはやめて、演出などに散りばめた。どの演出描写にも意味がある」と公式からのコメントがあったみたいだけど、上手い。
わかりやすいけど全部は説明せず、考察したくなってそれが合ってるか確認したくなって何回も観たくなるという作りです。
ホラーミステリの要素ありつつ原作の飄々としたところも日曜日朝アニメがベースであることも忘れていないなんとも欲張りセットな映画でした。
また観に行きたいな〜
以下、特典のネタバレです。
※映画見てから開封してね!という公式の注意書き付きでした。
ゲゲ郎の方でした!
赤ちゃんな鬼太郎を抱っこするこの姿の父…映画見た後だと「良かったねぇ…」となります。
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