広告ほぼ無し!ジブリの新作だ、あとはわかるな?映画館で確かめてくれ。
という、事前にSNSでいかに多くの人の興味を惹けるかのインパクト宣伝大戦国時代に真逆をいくスタンスで話題の映画を見てきました。
以下つらつら感想です。
ジブリの気概に応えて事前情報一切無しで見てきました。
少年・眞人が異界を冒険して成長する話。基礎はすごくシンプルな冒険譚で世界観は宮崎駿濃縮還元120%という感じでした。
時は昭和の第二次世界大戦、冒頭で眞人のお母さんが病院の火事で亡くなるシーンの迫力がすごかった。眞人の焦りや絶望が感じられてちょっと怖かった。
作品前半は眞人の事情について描かれていて、昨今昭和レトロ♡が流行りですが、なんかそういうのを吹っ飛ばすような「生々しい昭和の描写」もよかった。キャラクターや背景の描写や動き、考え方…比喩でなく泥臭さがスクリーン越しにはっきり感じられました。
屋敷に潜む「アオサギ」の前半の怪異感がすっごい不気味。のちにコミカル(他の作品で言うなら千と千尋の神隠しの湯バード…ハエドリ)になっていくんですが前半のムーヴは完全に妖怪だった。
眞人の母の妹であり、眞人の父親の後妻になったなつ子(昔は姉妹が後妻になることはそこそこあった)が妊娠中でありながらあの異界…外の屋敷に行ったのはなんでだったんだろう…?異界で子供産むとか不吉すぎんか??
外のお屋敷の正体も、映画見てる最中はうんうん…なるほどね…と今まで培ってきたオタク知識で自動解釈してたんだけど見終わった後だと結局なんなんだろう?となりました。
異界であることは間違いないんだけど死の国(根の国)であり、これから生まれてくるもの(ワラワラ)がうまれる場所であり、実は宇宙から来た隕石?であり…
地であり宙(ソラ)であるという不思議な異界だなーと見た後だと思います。でも属性がとっちらかってるわけではなくなんとなく共通の概念で結び付けているのがうまい。
外の屋敷…異界の世界を創り管理している大叔父から己の後継者として「悪意のない純粋で美しい世界」を創り管理していってくれないかと持ち掛けられるけど眞人は自分には悪意があるからそういう世界は作れませんと断るのが、ジブリというか宮崎駿監督の価値観なんだろうなーと。
悪意のない綺麗な世界には憧れはしても汚いものも悪意も渦巻いていてたまに見える星の瞬きみたいな美しいものを目指してひた走るこの世界を選ぶっていう。
しかしこうやって感想を書いていてもなんだか空をつかむ感じが否めない。
おもしろかったしいろいろと伝わってきてはいるんだけど文字おこしをしようとするとモヤモヤ形が定まらずどうしたもんか…となる感じです。
いろいろな考察があるとは思うのですが、自分は宮崎駿監督の原風景を通した世界の見方を凝縮されたような作品かなと思いました。
生死について、世界の在り方、世界で「どう生きるか」など、自分の内に還っていくような内容でありつつ観客に見せる「映画」という作品としてちゃんと成り立っているのがさすがというか、年季が違うというか。
主題歌米津玄師さんでしたね!
知らなかったからびっくりしちゃった。
歌詞はまだちゃんと把握してないんですが、曲に混ざる地球儀を回すような軋む音が入っているのが印象的でした。
見て爽快!みたいな内容ではない、ジワジワかみしめる感じの本作に合ってるな~となりました。
でも正直主題歌流れてしばらくは「ジブリついに米津玄師さんを繰り出したのね…!?」というので頭いっぱいでした。
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